12月4日 区民福祉委員会

◎保健衛生担当参事(岩瀬均君) 
 本陳情は、臓器移植の環境整備について、各種課題となっていることに対する事項について、国に対して意見書の提出を求めているものです。
 まず、臓器移植に関する法律の施行の経緯ですけれども、1980年に心臓が停止した死後の角膜と臓器提供を可能とする「角膜及び腎臓の移植に関する法律」が施行され、1997年に脳死後の臓器提供を可能とする「臓器移植に関する法律(臓器移植法)」が施行されました。しかし、臓器移植法は、脳死後に臓器を提供する場合、本人の書面による意思表示を必須とするなど、世界に類を見ない厳格なルールで、脳死の臓器提供は増加しませんでした。2010年に、本人の意思が不明な場合、家族の承諾で提供が可能となる「改正臓器移植法」が施行されています。
 日本における臓器移植対策は、主に国が対策として行っております。普及啓発はもちろん、医療保険の被保険者証や運転免許証、マイナンバーカードに臓器提供に関する意思表示欄を設けるとともに、臓器移植に関する理解を深めるためのリーフレットの作成や中学3年生向けの教育用パンフレットを全員分作成し、全国の中学校に送付しています。
 また、臓器移植対策の推進には、臓器提供施設の増加や体制整備が重要との観点から、臓器提供施設の支援のためマニュアル作成等の体制整備に国は取り組んでいると聞いております。
 陳情の要旨の1、「ドナーを増やすため、国民が命の大切さを考える中で、臓器移植に係る意思表示について具体的に考え、家族などと話し合う機会を増やすことができるよう、更なる啓発に努めてください」についてですが、公益財団法人日本臓器移植ネットワークでは、ホームページやPRパンフレットで、家族で話し合うことが臓器移植への一歩であることをPRしていますが、そのパンフレットによりますと、実際に家族と話し合ったことがある人は26.3%と表記されています。
 要旨2、「臓器提供施設を増やすため、マニュアルの整備、研修会の開催など、個々の施設の実情に応じたきめ細かい支援を行ってください」については、臓器提供施設に対し国が毎年アンケートを行っているようですが、臓器提供施設約900施設のうち、体制が整っているのは半数程度となっており、国は体制整備支援としてアドバイスや各種支援を実施している模様です。
 要旨3、「移植コーディネーターの確保支援」についてですが、移植コーディネーターとは、臓器提供を考えている家族に必要な説明を行い、提供から移植がスムーズに運ぶような調整や医療機関や一般の方への移植への理解を深める普及活動を実施されています。現状で全国で70名程度と聞いており、人材不足が課題となっているようです。特に資格として、移植コーディネーターという資格があるわけではないですが、日本臓器移植ネットワークのホームページでは、一定の医療の知識を有した人を募集しています。
 要旨4、「臓器移植手術から移送までを担う臓器移植施設の担当医について、負担軽減策を講じてください」につきましては、臓器移植担当医個人の負担としては、臓器提供者が出た場合、早急に提供施設まで出向くなど、突然の時間の拘束や長距離移動の負担が発生するなどと聞いています。一方で、臓器移植施設は、摘出手術の際に必要となる手術関連物品を提供施設に持参し、摘出手術をするとともに臓器を搬送するいわゆる摘出チームと自分の施設で移植手術を実施する移植チームの両方が必要となることから、人的負担が掛かっているとの課題があると指摘されています。
 要旨5、「国民が、臓器移植ネットワークの構築されていない国において臓器移植を受けることがないよう、対策を講じてほしい」につきましては、臓器移植法第11条に禁止しているブローカーについては、あくまでもインターネット上ではいるようですが、詳細の事実は分かっていませんし、渡航移植の危険性告知義務や臓器移植を受けた患者であることを覚知した際の告知義務、善意のレシピエントへの精神面でのケアは、医師として当然の責務と認識しているところです。

◆委員(井上ノエミ君) 
 臓器移植は推進する必要があると思いますので、この陳情の要旨1、2、3、4は採択とします。5については、医師の告知義務は難しいと思いますので、不採択とします。

◎保健衛生担当部長(伊津野孝君) 
 本陳情の要旨は3点ございますが、1点目と2点目につきましては保健衛生担当から説明させていただきます。
 1点目は、国に対して、葬祭関連業に関する総合的な法整備を求める意見書を提出すること、2点目は、東京都に対して、火葬料金の低廉化に向けた取組を求める意見書の提出をお願いするという内容です。
 まず1点目、葬祭関連業の法令につきましては、埋葬や火葬等を行う際には、「墓地、埋葬等に関する法律」により区市町村の許可が必要となります。また、墓地、納骨堂又は火葬場を経営する場合にも、同法による都道府県知事や市長、区長の許可を受ける必要がございます。一方、葬儀を行うことや葬祭業を営むことにつきましての法律の規制はございません。
 次に、2点目、火葬料金につきましては、現在23区内に公営の火葬場が2カ所あり、東京都が運営します江戸川区にある瑞江葬儀所では、火葬料金が6万1,000円となっております。もう一つの大田区と近隣4区で構成する一部事務組合が運営する臨海斎場では、火葬料金は4万円、ただし一部事務組合を構成する5区以外の住民は8万円となっております。このほかに民間の火葬場が23区内に7カ所ございますが、そのうち6カ所を同一の事業者が運営しております。火葬料金は7カ所いずれも5万9,000円となっております。
 なお、23区に隣接します埼玉県草加市の谷塚斎場も火葬料金は5万9,000円となっております。

◎福祉保健部長(青木剛君) 
 本陳情の要旨の3は福祉保健部に関連する事項ですので、ご参考までにご説明いたします。
 要旨3、本区において、いわゆる福祉葬を行う事業者を生活保護世帯に紹介するときは、特定事業者に偏ることなく、区民葬儀同様、特別区区民葬儀運営協議会の指定業者も紹介するよう求めるものです。
 区では、これまで生活保護の受給者が死亡した場合には、基本的にご遺族など葬祭執行者に対し、葬祭扶助基準額の範囲内で葬祭執行が可能な事業者による葬儀をご案内しております。その際には、扶助基準額の範囲内で葬祭を執行できる事業者であれば、どの事業者に依頼されても大丈夫という形でご案内を差し上げております。
 そうした中で、ご遺体については、亡くなられた状況によって警察、病院、施設から、休日、夜間でもご遺体の引取り要請を受けたり、検視、殊さらDNA鑑定中に火葬等ができないことによるご遺体の保管、またご遺骨についても、ご遺族を捜索する間、あるいはご遺族から今すぐには引き取れないというご要望によるかなり長期の保管や最終的な遺骨の埋葬が必要となる場合もございます。ご遺族や各方面から要請等がある場合に、ただいま申し上げました緊急的対応が可能な事業者のうち、区が把握する非営利法人を紹介することがございます。
 ただ、こうした複雑な事案ばかりではありませんので、例えば戦後間もなく国民の多くがまだ豊かでなかった時代に、通常より安い価格で葬儀を行える都民葬を経て、現在の区民葬儀の実施に至ります協同組合の皆様など、ご指摘の福祉葬と同様の価格、内容で葬儀が可能であるというお話があれば、葬祭執行者のご判断の一助となるよう、こうした情報を区のご案内の中で周知することについて検討してまいりたいと考えております。

○委員長(佐藤篤君) 
 本陳情について、何かご質疑・ご意見はありませんか。

◆委員(井上ノエミ君) 
 陳情の全てを採択とします。葬儀者の利益になるような法整備は必要だと思います。また、都内の火葬場の料金はかなり高いと思います。

◎福祉保健部長(青木剛君) 
 押上駅の改善に関する陳情要旨のうち、第1項第1号、押上駅「B3出入口」に下りのエスカレーターを設置する旨の要望書を京成電鉄株式会社及び東京地下鉄株式会社に提出することにつきまして、福祉保健部が所管します交通施設バリアフリー化の設備整備費補助の部分につきまして、ご説明申し上げます。
 この間、バリアフリー関連法令や方針に基づいて、区内の鉄道各駅におけるバリアフリー化設備の整備費の一部を補助しております。駅の各フロアにおいて歩行困難な方などが上下階に容易に移動できるよう、エレベーター等の設置を鉄道事業者にお願いしてまいりましたが、最初の1カ所目のバリアフリーを実現したいことから、特定の場所に設置することまでは現在までお願いをしておりません。平成29年度までに区内13駅でエレベーターの整備が完了しております。
 この補助事業では、東京都交通局及び東京地下鉄株式会社が行う整備は補助の対象外としておりますが、その他の対象事業者には、駅における車椅子対応のエスカレーターなどの整備も一定要件のもとで補助対象としておりますので、仮にこうした目的で車椅子対応エスカレーターなどを整備される場合には、本事業制度の要件をご確認いただき、事前相談をくださるよう機会を捉えて鉄道事業者にお伝えしたいと考えております。
 このほか、ご参考までに相当の重量があるエスカレーターが新たに整備された場合、既存施設の構造や強度計算上の問題があるのかどうか、あるいはエスカレーターの整備に伴い、例えば既存の階段の幅が半減し、狭くなった場合に、災害時や緊急時の避難に支障があるのかどうかといった駅構内の施設、設備に係る関係法令等の技術的な適合性などの課題が残っている可能性があります。

◆委員(井上ノエミ君) 
 この陳情を採択とします。エスカレーターは、区民にとって便利になりますので、必要と思います。

◎保健衛生担当参事(岩瀬均君) 
 保健センター衛生担当より2件ご報告いたします。
 まず、墨田区自殺対策計画(案)についてです。
 本日はA4、1枚表裏にまとめました概要、本書案、本書の部分で白黒印刷のため、見にくいグラフ資料等をカラーにまとめました追加資料を活用してご説明いたします。
 平成28年4月施行の自殺対策基本法の一部改正により、全ての市区町村に地域の特性に応じた自殺対策計画の策定が義務付けられました。
 そこで、本区におきましても、現状を踏まえ、生きることの包括的な支援として自殺対策を推進するため、「墨田区自殺対策計画~未来へつなぐ-こころといのちのサポートプラン~」の策定について検討を進め、計画案をまとめたものです。
 まず、計画案の内容です。
 目的ですが、自殺対策基本法第13条第2項に定める「区市町村自殺対策計画」及び「すみだ健康づくり総合計画」を補完する計画とし、これまでの区の取組を発展させ、全庁的かつ地域全体で「生きることの包括的な支援」として、自殺対策を推進することとしています。
 計画期間ですが、2019年度から2025年度までの7年間としています。
 ここで本書を活用いたしまして、本区の自殺の実態を簡単にご説明いたします。
 本書の4ページ、追加資料の図2、男女別の自殺者数と自殺死亡率の推移をご覧ください。
 本区では年平均で約50人の方が自殺で亡くなっており、男性の自殺者数は女性の2倍となっているほか、自殺死亡率を比較いたしますと、東京都より上回っている年が多くなっています。
 本書の5ページ、追加資料図3、性・年齢別の自殺死亡率ですが、東京都と比較すると男性は50歳から70歳代が、女性は40歳代と70歳以上が高くなっています。
 本書8ページ、追加資料の裏面、図6の資料ですが、保健センター管轄別では、性・年齢別の自殺の状況を見ますと、男女とも本所管内の数が多くなっています。ただ、60歳以上の男性については、向島管内が多くなっています。
 また、年齢別の死亡原因ですが、10歳代から40歳代までは自殺が上位を占めています。
 本書9ページ、追加資料の図7の資料ですが、自殺の原因、動機ですが、健康問題が最も大きくなっていますが、自殺に至るにはさまざまな要因が絡み合っているため、原因、動機を単純化することはできないとしています。
 11ページをお願いします。
 新生児訪問等で産後うつの指標として、「エジンバラ産後うつ質問票」を実施したところ、11.5%がうつ状態と示されるとともに、「自分の体を傷つけるという考えが浮かんだ」方が2.6%いることが分かっています。
 最後に12ページですが、このたび国が地域ごとの自殺対策計画の策定を支援するため、自治体ごとの自殺の状況をまとめた地域自殺実態プロファイルの提供を受けましたが、本区の平成24年から平成28年の合計では、1位は男性60歳以上、無職、同居、2位は男性60歳以上、無職、独居、3位は男性の40歳から59歳、有職、同居が上位を占めました。
 概要に戻ります。
 本書では13、14ページとなりますが、(3)といたしまして、計画の基本方針です。
 自殺対策基本法及び自殺総合対策大綱を踏まえまして、ア、自殺対策を「生きることの包括的な支援」として推進する、イ、関連施策との有機的な連携による総合的な対策な展開する、ウ、対応の段階に応じた対策を効果的に連動させる、エ、実践と啓発を両輪として推進する、オ、関係者により連携・協働の推進の五つの基本方針を掲げました。
 (4)目標です。
 本書では14ページですが、国は自殺総合対策大綱において、2026年までに自殺死亡率を2015年と比較して30%減少させることを目標としており、東京都もこれに準じていますので、区としましても、当面の目標として2026年までに自殺死亡率の30%以上の減少を目指します。
 (5)施策体系です。本書では14ページになります。
 まず、国が全ての区市町村で取り組むべきとしている基本施策として、ア、地域におけるネットワークの強化、イ、自殺対策を支える人材の育成、ウ、区民への啓発と周知、エ、生きることの促進要因への支援、そして墨田区自殺の実態を踏まえた重点施策、ア、高齢者への支援、イ、生活困窮者への支援、ウ、勤務問題に関わる自殺予防対策、エ、児童・生徒・若者への支援、オ、妊産婦・女性への支援、そしてその他の自殺対策に関連する事業をまとめた生きる支援の関連施策の三つの枠組みで推進いたします。
 なお、それぞれの施策には五つの基本方針の要素が内包されており、これを体系化することで、効果的、効率的に対策を推進いたします。
 本書の15ページからは、施策体系に基づく各論部分となります。
 基本的には全庁的に調査をかけ、自殺対策、生きる支援に関する各事業を棚卸しした上、一部新たな事業を加味してつくり上げております。したがいまして、新たに今後取り組みたい事業を一部ご説明いたします。
 19ページをお願いいたします。
 基本施策の生きることへの促進要因への支援、いわゆる当事者支援で悩みを抱える人への個別支援として、国が進めています精神障害者にも対応した地域包括ケアシステムの構築を目指し、既にモデル実施をしていますが、29番の退院後支援として、措置入院等による入院患者に対して、退院後の生活に向けた支援計画を本人同意と関係者の連携のもとに作成し、支援をいたします。
 また、30番のアウトリーチ支援につきましても、精神障害が疑われる医療未受診者やひきこもりの精神障害者、治療中断者に対し、精神科専門チームによるアウトリーチ支援の実施について検討し、精神科医療の早期介入と社会生活の安定化を図ります。
 また、31番では自殺未遂者の支援として、既に江戸川区で実施しているように、墨東病院等と連携して、自殺未遂者への支援について検討いたします。
 29ページからは、児童・生徒・若者への支援を記載していますが、32ページで若者支援を掲載しています。墨田区では顔の見える支援を目指しますが、96番で若者の居場所支援として、心の悩みや生きづらさを感じている若者が安心して過ごせる居場所の提供について検討し、ストレスの対処方法やソーシャルスキルを身に付け、前へ進むための支援に努めます。
 また、97番では、包括協定を結んだ千葉大学等と連携して、若者に対する啓発や支援を行いたいと考えております。
 33ページをお願いします。
 妊産婦・女性への支援についてですが、101番で産後ケア事業ですが、この間さまざまなご意見をいただきましたが、自殺対策の観点からも本事業について検討をいたします。
 40ページからは、具体的な事業計画です。
 東京都の自殺対策計画等と同様の表示としました。基本的に現在実施している事業が大半ですので、ほとんどが継続実施となっていますが、新たに実施する事業につきましては、予算編成過程ということもあり、実施時期検討中としており、予算が固まり次第、表記を変更いたします。
 概要版(6)にお戻りください。施策の推進に向けて、本書では48ページになります。
 推進体制は既にでき上がっていますが、墨田区自殺対策ネットワーク会議や墨田区自殺対策「庁内ネットワーク会議」といったネットワーク会議を基盤として、綿密な連携を確保し、総合的に自殺対策を推進するとともに、「墨田区健康づくり推進本部」や「墨田区保健衛生協議会」での計画の進捗状況を評価し、PDCAサイクルを進めていきます。
 また、本書49ページにおいて評価指標を掲載いたしました。
 本計画の目標は、自殺の死亡率ですが、これを実現するためには、各施策を着実に推進することが重要です。本計画の関連施策には、それぞれの目的に応じた事業目標があるため、それに基づき関連部署が評価することになりますが、それを踏まえた上、1点目はゲートキーパー研修の受講者数、2点は区民アンケート等により、睡眠による休養が十分に足りているか、悩みの相談相手がいたか、自殺対策が自分自身の関わることだと思う割合などを活用して評価していきます。
 概要の2です。
 この計画案の検討経過は表記のとおりです。
 3の今後の予定ですが、本委員会後、速やかに計画案についてのパブリックコメントを実施した上、修正案を墨田区自殺予防対策ネットワーク会議、健康づくり推進本部会議の報告を経て、平成31年第1回区議会定例会で本委員会に報告いたします。
 以上で、墨田区自殺対策計画の案について報告を終わります。
 続きまして、墨田区がん対策推進計画(案)についてご説明いたします。
 本日はA4、1枚表裏にまとめました概要と本書案で説明いたします。
 国は平成30年3月に「がん対策推進基本計画(第3期)」を策定し、都は平成30年3月に「東京都がん対策推進計画」の第二次改定を行いました。区においても、国・都の計画を踏まえ、「墨田区がん対策推進計画」の策定について検討を進め、計画案をまとめましたので、報告いたします。
 概要の1、墨田区のがん対策計画(案)の内容です。
 まず、目的ですが、本計画は平成25年度に策定いたしました「墨田区がん対策基本方針」の理念を引き継ぎ、がん予防や早期発見、地域のがん医療の充実から患者とその家族の療養生活の支援までに至る総合的ながん対策を更に実効性のあるものとして推進することとしています。
 計画期間は、国や東京都と同様に2019年4月から2025年3月までの6年間としています。
 全体目標も国・東京都と同様に、「がん患者を含めた区民が、がんを知り、がんの克服を目指します」としています。
 数値目標は、東京都と同様に全がんの75歳未満年齢調整死亡率について、2016年の数値を2023年までに10%減少させることを目指します。
 個別目標、分野別施策ですが、個別目標の1は科学的根拠に基づくがん予防の充実で、いわゆる1次予防といたしまして、Ⅰ、たばこ対策の推進、Ⅱ、その他のがんを遠ざけるための生活習慣に関する取組の推進でいわゆる飲酒、食生活、身体活動、適正体重の維持です。そしてⅢ、ウイルス・細菌の感染に起因するがんに対する取組の推進でいわゆるヒトパピローマウイルス、肝炎ウイルス、ヘリコバクター・ピロリ菌、ヒトT細胞白血病ウイルスⅠ型の対策です。
 個別目標の2では、がんを早期発見するためのがん検診の充実で、いわゆる2次予防です。
 Ⅰは、がん検診の概要で、いわゆる類型ですとかメリット、デメリット、死亡率減少のスリーステップについてです。Ⅱは、がんの死亡率減少のためにで、いわゆる科学的根拠に基づくがん検診の実施、質の高いがん検診の実施、そして受診率向上策です。そしてⅢ、がん検診事業の安定的運営は、いわゆるがん検診事業体制における現状、自己負担の区民意識、安定的運営に向けての記載をしています。
 個別目標3は、がんに関する正しい知識の普及啓発・健康教育の充実です。Ⅰ、児童・生徒・学生へのがん教育の推進、Ⅱ、効果的ながんの普及啓発推進についてとなっています。
 個別目標4は、がん患者が尊厳を保ちつつ安心して暮らすことのできる地域社会の実現として、Ⅰ、がんに関する情報提供の推進、Ⅱ、がんと診断された時から切れ目ない緩和ケアの提供、Ⅲ、ライフステージに応じたがん対策を記載しています。
 ここで本書を使いながら、本区のがん対策の現状をお知らせします。
 本書7ページをお願いいたします。
 男性の75歳未満年齢調整死亡率ですが、23区中一番高くなっています。部位につきましても、胃がん、肺がんが1位です。
 8ページをお願いいたします。
 女性の75歳未満の年齢調整死亡率は、23区中16番目で、大腸がんは3位、乳がんは8位と高くなっています。
 次に、各論となる第4章の分野別比較のうち重要な部分をご説明いたします。
 18ページをお願いいたします。
 ここではたばこ対策の推進です。
 19ページで区民の喫煙率について、平成26年現在男性が27.6%、女性が11.2%、全体で18.2%となっています。年々喫煙率は減少していますが、図表19のように、全体及び男性は国、東京都より喫煙率は低くなっていますが、女性は国より高くなっています。
 21ページ以降に記載していますが、区民や飲食店向けに東京都受動喫煙防止条例等の周知も含めて、たばこの害の普及啓発を強化いたします。
 22ページをお願いいたします。
 本計画につきましては、今回より基本方針から計画に格上げしましたので、自殺対策計画同様事業計画を記載いたしました。一部は予算編成過程であることから、実施時期検討中としているものもございます。予算が固まりましたら表記を変更いたします。
 また、25ページに記載していますが、特に未成年者、妊娠中、産後の喫煙率ゼロ%に向けて取り組みます。
 28ページですが、東京都の包括補助を活用しつつ、禁煙支援についても検討いたします。
 48ページからは、科学的根拠に基づくがん検診の実施について記載しています。
 国の指針では、科学的根拠があるとしているがん検診は、胃がん、大腸がん、肺がん、子宮頸がん、乳がん検診の五つで、それ以外は指針外として、区が実施する対策型検診として推奨していません。
 49ページをご覧ください。
 平成28年2月の指針の改正に伴い、胃がん検診において、新たに内視鏡検診が推奨されるとともに、乳がん検診では視触診による検診は推奨しないこととなりました。また、東京都等より指針外である胃がんリスク検査や前立腺がん検診についての実施の見直しが求められています。
 そこで、50ページですが、胃がん検診で内視鏡検診の導入を検討いたします。また、乳がん検診については、視触診を受診者の任意制にするなど、実施体制の見直しを図ります。
 胃がんリスク検査については、これまでの検査結果の分析、評価が十分でないことや国の検討状況を踏まえ、現状と同様の内容で試行を継続いたします。
 また、前立腺がん検診については、長年の検診の成果として、区民の健康を支えてきた実績があることから、今後実施方向等の見直しを図るため、墨田区医師会と協議を進めることといたしました。
 60ページからがん検診の受診率向上策でございます。
 66ページをご覧いただければと思うんですけれども、がん検診受診率向上のため、検診を受けやすい環境、いわゆる土、日や夜間に受診できる検診実機関や女性医師、女性スタッフを選択できる検診機関への案内ができる体制づくり、検診の定員確保、総合がん検診の導入など、できることから実現に向けて検討していきたいと考えております。
 70ページ、71ページでは、がん検診の安定的運営という項目を記載しました。
 現在、がん検診の自己負担金額は、大腸がん検診の400円のみとなっています。一方で、図表55のように全がん検診の延べ受診者は4万人を超え、事業費は3億円を超えています。今後、更なる制度管理や受診率向上策に取り組むためには、総事業費の更なる増加が見込まれます。
 71ページで、がん検診受診に対する自己負担の区民意識は、平均約1,800円となっていましたが、今後がん検診の受診率向上策や適切な制度管理体制の推進等の成果を踏まえた上で、がん検診事業を安定的に運営していくための検診費の算定根拠となる診療報酬の改定や他自治体の状況、社会情勢等を勘案し、適宜自己負担額や割合等を検討することといたしました。
 概要の裏面(6)にお戻りください。
 推進に向けてですが、条例会議である「墨田区がん対策推進会議」において、各施策の進捗状況の確認や評価を行っていくとともに、区民を対象とした「健康に関する区民アンケート調査」や「がんに関する区民意識調査」において、定期的に現状を把握していきます。
 2の検討経過ですが、今回の策定に当たりましては、がん対策推進会議の策定部会、予防・啓発部会、検診部会、患者支援部会の3部会で検討した上、がん対策推進会議で検討した上、案としてまとめています。
 3の今後の予定ですが、本委員会報告後、速やかにパブリックコメントを実施し、修正案を墨田区健康づくり推進本部会議、墨田区がん対策推進会議で報告後、平成31年3月に本委員会に報告する予定です。

○委員長(佐藤篤君) 
 ただいまの報告については、報告された順に1件ずつご質疑・ご意見を承ります。
 初めに、自立支援センター墨田寮の開設について、何かご質疑・ご意見はありませんか。

◆委員(井上ノエミ君) 
 自立支援センター墨田寮の開設に関連して、墨田区におけるホームレス対策についてお伺いします。
 墨田区では、平成17年3月に「ホームレスの自立支援等に関する墨田区実施計画」をつくりました。これは国がホームレス自立支援法を時限立法で成立させたことに伴います。墨田区の計画は、平成21年度までの5年間です。国はこの法律の期限を2027年まで延長することに昨年決めました。新宿区では、既に第3次の実施計画まで作成して、ホームレス対策を行っています。墨田区では、まだ新しい計画は作成されていません。墨田区では、NPO法人と協力して、ホームレス対策にはさまざまな取組をして、ホームレスの数も大幅に減ったと思います。しかし、国の法律も10年間延長されていますので、是非新しい計画を作成して実施していただきたいと思いますが、ご見解を伺います。

◎生活福祉課長(倉松邦多君) 
 委員ご指摘のとおり、平成17年3月に「ホームレスの自立支援等に関する墨田区実施計画」を策定しました。本計画では、835人のホームレスの方を計画期間満了時に2分の1の程度まで減少させることを目的としておりましたが、計画終了時の平成21年度では168名まで減少させることができました。現在も実施している自立支援事業は一般政策化されまして、現事業は安定化し、平成29年度はホームレスの方も57人までに減少してきております。
 国の特別措置法は10年間延長されましたが、制度に変更がないため、新たな計画等を策定する必要がないと考えております。残る57人の方につきましても、引き続き都と連携しながら、自立支援に努めてまいりたいと考えております。

◆委員(井上ノエミ君) 
 12月に入って寒さも厳しくなってきました。区内でホームレスの方を見ると、この寒さの中で凍死しないかと心配になります。他の都市の調査を見ると、ホームレスの死亡原因で凍死が多いようです。
 そこで、お伺いしますが、墨田区内での行旅死亡された方で死因が凍死の方は何人いるでしょうか、過去3年間についてお伺いします。

◎厚生課長(須藤浩司君) 
 行旅死亡人で、路上生活者と思われる方の過去3年間で凍死が死因の方ですが、おりません。過去3年間の死亡人数ですけれども、平成28年度は3件、平成29年度は1件、平成30年度は1件で路上生活者と思われる方はおりますけれども、死因は病死又は死亡から時間が経過していて分からないと、警察からの報告を受けているところです。

◆委員(井上ノエミ君) 
 ホームレスの方が路上で凍死することは、決して起こらないようにするべきと思います。緊急シェルターもありますが、大部屋で居心地が悪いので、ホームレスのほうがいいという方もいると思います。説得するのはなかなか難しいと思います。人道的な見地から、凍死を予防するために、毛布やカイロなどをNPOと協力して配布することは可能だと思います。凍死の問題について、真剣に考えていただきたいと思いますが、ご見解を伺います。

◎生活福祉課長(倉松邦多君) 
 ホームレスの方に毛布やカイロ等を配布してはどうかというご提案でございました。
 ホームレスの方については、区としては、路上生活から脱却していただくことを目標としておりまして、毛布等を配布しますことは、路上生活の継続につながっています。区としては、ホームレスの方に来所していただければ、食料や衣類を支給しており、併せて自立支援センターや生活保護の相談等にも対応しているところです。そういうわけで、こうした対応で引き続き行わせていただきたいと考えております。
 また、これから寒くなりますので、ホームレスの方を巡回する巡回指導員の方にはホームレスの方を訪れた際には、寒さに十分注意すること、健康等に十分留意して、困ったことがあれば区役所に相談に行くこと等を案内してもらいますとともに、居宅生活に移行できるよう、さまざまな支援を引き続きしてまいりたいと考えております。

◎生活福祉課長(倉松邦多君) 
 自立支援センターの建設に先立ちまして、昨年度の委員会でも報告したように、議会に報告した資料に基づきまして、地元にも町会等含めまして、ご説明を差し上げて、着工したものです。
 それから、都の施設で喫煙ということでしたが、この建物につきましては、都が設計から建設まで責任を持って行うということで、東京都の条例等に照らして、違反はしないということを確認しています。
 あと施設の門限等についてですが、確か午後6時までだったかと思うんですが、門限があります。それで、その規則に従って、生活をしていただくわけですが、事前に申請をして、今日はこういうことで遅くなるという形で、事前に承諾をもらってからやるという厳しい規則にのっとってやっております。